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医師の労働時間上限規制HEADLINE


 働き方改革は既に始まっているところですが、「働き方改革」とは、企業が職場環境や働き方そのものを見直し、従業員がそれぞれの事情に応じたよりよい働きやすい環境を整えるための取組のことです。
 少子高齢化による人材不足や長時間労働の見直し、そして育児や介護と仕事の両立支援など多様な働き方を実現するために働き方改革の推進が必要とされました。
 そこで、魅力的な働きやすい職場環境を改善することで、人材が確保され、業績が向上し、利益が増す好循環を作ることを目的とし、以下の内容について見直しが行われています。

見直しの内容は、下記のとおりです。

① 残業時間の上限の規制
② 「勤務間インターバル制度」の導入
③ 1人1年あたり5日の年次有給休暇の取得の義務化
④ 月60時間を超える残業の割増率の引上げ(25%⇒50%)
➄ 労働時間の状況について客観的な把握義務

   ・働く人の健康管理の徹底
  ・ 管理職、裁量労働制適用者も対象
⑥ 「フレックスタイム制」により働きやすくするため、制度を拡充
 ・労働時間の調整可能な時間(清算期間)を延長(1か月⇒3か月)
 ・子育て・介護しながらでも、より働きやすくするため
⑦ 高度プロフェッショナル制度の新設
 ・前提として、働く人の健康確保措置の義務化
 ・対象を限定(一定の年収以上で特定の高度専門職のみが対象)
⑧ 産業医・産業保健機能の強化
⑨ 不合理な待遇差の禁止規定
⑩ 労働条件の説明義務

 項目名 規制の概要   施行日
 時間外労働の上限規制  原則として、
月45時間
年360時間等 とする罰則付きの上限規制
医師については、2024年4月1日から適用されます。
 医師を除き
2019年4月から(大企業)
2020年4月から(中小企業)
 勤務間インターバル制度の導入  1日の勤務終了後、翌日の出社までの間に一定時間以上の休息時間(インターバル)を確保する仕組みです。  2019年4月から適用
 割増賃金率 月60時間を超える 時間外労働の割増率
賃金率 50%以上 へ引き上げ
 2023年4月1日から適用
 年事有休休暇 10日以上の年休が付与される労働者に
5日について、毎年与えなければなりません。 
2019年4月1日から適用 
 労働時間の状況の把握 症例省令で定める方法
(現認や客観的な方法)で把握しなければなりません。 
2019年4月1日から適用  
 フレックスタイム制の拡充 労働者が働くべき一定時間(所定労働時間)を定めた期間を清算期間としますが、1か月から3か月に延長されました。   2019年4月から適用
 高度プロフェッショナル制度の新設  高度の専門的知識をもって、職務の範囲が明確な一定の年収要件を満たす労働者を対象に、労使委員会の決議と労働者本人の同意を前提として年間104日以上の休日確保措置や健康管理時間の状況に応じた健康確保措置等を講ずることによって、労基法に定められている労働時間、休憩、休日及び深夜の割増賃金に関する規定を適用しない制度  2019年4月から
 産業医・産業保健機能の強化  産業医が行った労働者の健康管理等に関する勧告の内容を衛生委員会に報告しなければならない。 2019年4月1日適用
(産業医の選任義務のある労働者数50人以上の事業場)
 不合理な待遇差の禁止 均衡待遇(不合理な待遇差の禁止)
均等待遇(差別的取扱の禁止)
 2020年4月1日から
中小企業:2021年4月1日から
 労働条件の説明義務 非正規社員は、正社員との待遇差の内容や理由などについて、事業主に対して説明を求めることができるようになりました。   2024年4月1日から

※ 医療業における「中小企業」とは、
  ① 資本金の額または出資の総額が5000万円以下
  または
  ② 常時使用する労働者の数が100人以下 です。

上限規制の適用が猶予されていた業種


 時間外労働時間の上限規制の猶予がされていた業種  概要  施行日
 建設事業  災害復旧に関わる事業を除き、上限規制が適用されます。
(36協定あり)
・月45時間 年360時間以内
(特別条項付き36協定あり)
・年720時間以内
時間外労働と休日労働の合計について、
・単月100時間未満(災害復興除外)
・2月~6月の平均80時間以内(災害復興除外)
・月の時間外労働が45時間超は年6回まで
2024年4月1日から  
 自動車運転業務 特別条項付き36協定を締結する場合の年間の時間外労働の上限が年間960時間となりました。
(36協定あり)
・月45時間 年360時間
(特別条項付き36協定あり)
・年960時間以内
時間外労働と休日労働の合計について
・単月100時間未満
・2月~6月の平均80時間以内
・時間外労働が月45時間を超える事ができるのは、年6か月までとする規制は適用されません。
 医師 (36協定あり)
・月45時間 年360時間
(特別条項付き36協定あり)
【A水準】
月100時間未満(追加的健康確保措置を講じる場合は、例外的に超過可能)
・年960時間未満
【B・C水準】
月100時間未満(追加的健康確保措置を講じる場合は、例外的に超過可能)
・年1860時間未満

※A水準:診療に従事する全ての医師
※B水準:地域的医療暫定特例水準(救急医療機関等)
※C水準:集中的技能向上水準(研修などを行う医療機関)
2024年4月1日から
具体的な上限規制は、省令で定められています。
 鹿児島県および沖縄県での砂糖製造業 (36協定あり)
・月45時間 年360時間 
時間外労働と休日労働の合計について
・単月100時間未満
・2月~6月の平均80時間以内
・月の時間外労働が45時間超は年6回まで
 2024年4月1日から

医師の働き方改革


 医師を含め、医療機関で働く全ての人の働き方改革を進め、誰もが、心身の健康を維持しながら、いきいきと医療に従事できる状況を実現し、よりよい質の医療の提供をすることを目指します。そのために、まず、長時間労働を是正するために医師の労働時間の短縮計画の策定及び健康確保のための措置の整備そして実施をしています。(令和6年4月1日から段階的に施行されています。)

  • 長時間労働(連携B水準・B水準・C-1水準・C-2水準)となる医師が勤務する医療機関は、「医師労働時間短縮計画」を作成し、医療機関勤務評価センターによる第三者評価を受ける必要があります。
  • 地域医療の確保や集中的な研修実施の観点から、やむを得ず高い上限時間を適用する必要性がある医療機関は、医療機関勤務評価センターによる評価を受けることで認められれば高い上限時間(連携B水準・B水準・C-1水準・C-2水準)で時間外労働をすることができます。

    都道府県知事からの指定がない場合には、これらの水準での時間外労働をさせることは出来ません。

  • 高い上限時間水準で指定をうけた医療機関が実施するべきこと
    □ 連続勤務時間制限 28時間
    □ 勤務間インターバル 9時間(終業時刻から次の始業時刻までの休息時間)
    □ 代償休息(休憩時間に
    やむを得ず仕事に従事した労働時間と同じ時間の休憩時間)の確保を実施することで、医師の健康を確保します。

医療機関の特性に応じた上限規制の適用分類(ABC水準)と健康確保措置の適用

 医療機関に適用する水準 年の上限時間  面接指導  休息時間の確保 
 A水準(一般の労働者と同程度)  960時間 義務   努力義務
 連携B水準(医師を派遣する病院)  1860時間
※2035年度末を目標に修了 
義務   
 B水準(救急医療等)
 C-1水準(臨床・専門研修)  1860時間 
  C-2水準
(高度技能の習得研修)

罰則
 ・ 6か月以下の懲役
・ 30万円以下の罰金


一般の労働者と医師との労働時間の限度時間は、異なるのですか?


〇 【一般の労働者】
  
 時間外労働の上限は、原則として月45時間年360時間となっています。臨時的な特別な事情がある場合には、「時間外・休日労働に関する協定(36協定)特別条項」によって、下記の範囲内でそれを超える時間の労働が認められています。

  • 「時間外労働」 が年720時間以内
  • 「時間外労働」+「休日労働」= 月100時間 未満
  • 「時間外労働」+「休日労働」の合計が、「2カ月平均」「3カ月平均」「4カ月平均」「5カ月平均」「6カ月平均」が全て1月当たり80時間以内
  • 「時間外労働」が付き45時間を超えることができるのは、年6か月が限度

上記に違反した場合には、罰則(6か月以下の懲役または30万円以下の罰金)が科されるおそれがあります。


   特別条項
            
 〇 【医師

 2024年以降、勤務医の時間外労働時間は、年960時間以下とすることが原則となります。しかし、医師が少ない地域では、この時間を遵守していると必要な医療の提供の確保が難しくなるおそれがある場合に、限定的かつ暫定的に年間1860時間までの時間外労働を認めるものが「B水準」となりますが、2035年度末までには、暫定特例水準(B水準)の解消を目標としています。

 こうした長時間労働態様に従事する医師の健康確保措置の義務付けと、医師の労働時間短縮計画の作成によるPDCAの実施が必要になります。

   上限時間    上限を超える場合
 A水準 年960時間(原則)
月100時間
※いずれも休日労働含む
 診療従事勤務医に2024年度以降適用される水準  連続勤務時間制限28時間・
勤務間インターバル9時間の確保・代償休息のセット

実際に定める36協定の上限時間数が一般則を超えない場合を除く
 B水準 年960時間を超え
年1860時間以下
月100時間未満
※いずれも休日労働含む
 都道府県が特定します。
地域の医療提供体制の確保のために暫定的に認められる水準
 連続勤務時間制限28時間・勤務間インターバル9時間の確保・代償休息のセット
(義務)
 C-1
水準
年960時間を超え
年1800時間以下
月100時間未満
※いずれも休日労働含む
 
集中的技能向上水準(医療機関を特定) 

初期・後期研修医が、研修プログラムに沿って、基礎的な技術や能力を習得する際に適用される。

※ 本人がプログラムを選択
連続勤務時間制限28時間・勤務時間インターバル9時間の確保・代償休息のセット
(義務)

※初期研修医については、連続勤務時間制限を強化して徹底(代償休息不要)
 C-2
 水準
集中的技能向上水準(医療機関を特定) 

医籍登録後の臨床従事6年目以降の者が、高度技能の育成が公益上必要な分野について、特定の医療機関で診療に従事する際に適用される。

※本人の発意により計画を作成し、医療機関が審査組織に承認申請

 B水準  
  • ※三次救急医療機関
  • ※二次救急医療機関 かつ 
    「年間救急車受け入れ台数1000台以上 又は 年間での夜間・休日・時間外入院件数 500件以上」 かつ
    「医療計画において※5疾病5事業の確保のために必要な役割を担うと位置づけられた医療機関」

    ※一次救急期間とは、入院の必要がなく帰宅可能な軽傷者に対して行う救急医療。

    ※二次救急医療機関とは、24時間体制で、救急患者の受け入れができるようになっており、
    □ 手術治療も含めた入院治療を提供できる設備が整っている
    □ 救急医療の知識と経験が豊富な医師が常に従事している
    □ 救急患者のために、専用病床が整備されている
    という条件を満たしている病院。

    ※三次救急とは、一次や二次では、対応できない重症・重篤患者に対して行う医療。

    ※5疾病とは、
    〇がん 〇脳卒中 〇急性心筋梗塞 〇糖尿病 〇精神疾患
    ※5事業とは、
    〇救急医療 〇災害医療 〇へき地医療 〇周産期医療 〇小児医療
  • 在宅医療において、特に積極的な役割を担う医療機関
  • 公共性と不確実性が強く対応する医療機関(特に患者が集中するもの)、小児救急のみを提供する医療機関、へき地において、中核的な役割を果たす医療機関
  • 特に専門的な知識・技術や高度かつ継続的な疾病治療・管理が求められ、代替えすることが困難な医療を提供する医療機関
    (高度のがん治療、移植医療等極めて高度な手術・疾病管理、自動精神科等)
  • 兼業・副業先での労働時間を通算して、年1860時間までの勤務する医師がいる医療機関
 C―1水準 臨床研修医・専門研修中の医師の研鑽意欲にこたえて一定期間集中的に知識・手技を身に着けられるようにする。 
 C―2水準  高度な技能を有する医師を育成する必要がある分野において、新しい診断・治療法の活用・普及等が図られるようにする。

医師の働き方改革を進めるうえで医療機関に求められること

  • 労働時間短縮計画の作成
  • 労務管理システムの導入による労働時間の把握
  • タスクシフトシェアの推進
  • 健康確保措置

【労働時間短縮計画】
1 労働時間と組織管理(共通記載事項)

(1)労働時間数
  〇 年間の時間外・休日労働時間数の平均
  〇 年間の時間外・休日労働時間数の最長
  〇 年間の時間外・休日労働時間数960時間超~1,860時間の人数・割合
  〇 年間の時間外・休日労働時間数1,860時間超の人数・割合

(2)労務管理・健康管理
  〇 労働時間管理方法
  〇 宿日直許可の有無を踏まえた時間管理
  〇 医師の研鑽の労働時間該当性を明確化するための手続等
  〇 労使の話合い、36協定の締結
  〇 衛生委員会、産業医等の活用、面接指導の実施体制
  〇 追加的健康確保措置の実施

(3)意識改革・啓発
   以下の項目のうち、最低1つの取組について、
  ① 前年度の取組実績
  ② 当年度の取組目標及び
  ③ 計画期間終了年度の取組目標を 計画書に記載します。 
 
  〇 管理者マネジメント研修
   ・病院長や診療科長等が管理者のマネジメント研修を受講しているか等
  〇 働き方改革に関する医師の意識改革
   ・働き方改革について医師の意見を聴く仕組みを設けているか
   ・医療機関が進める働き方改革の内容について医師に十分に周知する仕組みが整っているか等
  〇 医療を受ける者やその家族等への医師の働き方改革に関する説明
   ・医療を受ける者やその家族に対し、医師の働き方改革を進めていること、それにより、外来等の場面で影響があることについて、理解を求める旨の掲示を行っているか等

(4)策定プロセス
  〇 各職種が参加する委員会や会議、チーム等において計画の検討を行い、作成したか、また、計画の内容について医師に十分に周知されているか等を記載します。

 労働時間短縮に向けた取組(項目ごとに任意の取組を記載)

 以下の項目ごとに、最低1つの取組を記載します。
(1)タスク・シフト/シェア
  〇 看護師
   ・特定行為の実施
   ・事前に取決めたプロトコールに基づく薬剤の投与、採血・検査の実施
   ・救急外来における医師の事前の指示や事前に取決めたプロトコールに基づく採血・検査の実施
   ・血管造影・画像下治療(IVR)の介助
   ・注射、採血、静脈路の確保等
   ・カテーテルの留置、抜去等の各種処置行為
   ・診察前の情報収集
  〇 助産師
   ・院内助産
   ・助産師外来
  〇 薬剤師
   ・周術期の薬学的管理等
   ・病棟等における薬学的管理等
   ・事前に取決めたプロトコールに沿って行う処方された薬剤の投与量の変更等
   ・薬物療法に関する説明等
   ・医師への処方提案等の処方支援
  〇 診療放射線技師
   ・撮影部位の確認、検査オーダーの代行入力等
   ・血管造影・画像下治療(IVR)における補助行為
   ・放射線検査等に関する説明、同意書の受領
   ・放射線管理区域内での患者の誘導
  〇 臨床検査技師
   ・心臓・血管カテーテル検査、治療における直接侵襲を伴わない検査装置の操作
   ・病棟・外来における採血業務
   ・輸血に関する定型的な事項や補足的な説明と同意書の受領
   ・生体材料標本、特殊染色標本、免疫染色体標本の所見の報告書の作成
  〇 臨床工学技士
   ・人口心肺を施行中の患者の血液、補液及び薬剤の投与量の設定及び変更
   ・全身麻酔装置の操作
   ・各種手術等において術者に機材や医療材料を手渡しする行為
   ・生命維持管理装置を装着中の患者の移送
  〇 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士
   ・リハビリテーションに関する各種書類の記載・説明・書類交付
  〇 医師事務作業補助者その他の職種
   ・診療録等の代行入力
   ・各種書類の記載
   ・医師が診察をする前に、医療機関の定めた定型の問診表等を用いて、診察する医師以外の者が患者の病歴や症状などを聴取する業務
   ・日常的に行われる検査に関する定型的な説明、同意書の受領
   ・入院時のオリエンテーション
   ・院内での患者移送・誘導

(2)医師の業務の見直し
  〇 外来業務の見直し
  〇 宿日直の体制や分担の見直し
  〇 宿日直中の業務の見直し
  〇 オンコール体制の見直し
  〇 主治医制の見直し
  〇 副業・兼業先の労働時間も踏まえた勤務シフトの管理

(3)その他勤務環境改善 ICTその他の設備投資
          
(働き方改革推進支援助成金の活用)
  〇 音声入力システムの導入
  〇 出産・子育て・介護など、仕事と家庭の両立支援
  〇 短時間勤務、時差出勤、変形労働時間制の導入、宿日直の免除、院内保育・病児保育・学童保育・介護サービスの整備や利用料の補助等
  〇 更なるチーム医療の推進
    ・介護、福祉の関係職種との連携等

(4)副業・兼業を行う医師の労働時間の管理
  〇 副業・兼業先の労働時間も踏まえた勤務シフトの管理
  〇 副業・兼業先との勤務シフトの調整
  〇 副業・兼業先への医師の労働時間短縮の協力要請
     ・副業・兼業先における、宿日直許可基準に該当する場合の当該許可の取得、円滑な引継ぎ等により出来る限り予定していた時間内での勤務となるような配置、派遣する医師が長時間労働となっている場合の医師の変更の受け入れ等の協力要請

(5)C-1 水準を適用する臨床研修医 及び 専攻医の研修の効率化
  〇 教育カンファレンスや回診の効率化
  〇 効果的な学習機材・機材の提供による学習環境の充実
  〇 個々の医師に応じた研修目標の設定とこれに沿った研修計画の作成

 

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